時代は令和なのに、家庭生活において今でも「家事や育児は女の仕事」という昭和の価値観を持った人は少なくないようです。
東京は大企業の本社も多く、女性の社会進出を後押しする制度を導入する制度を導入・強化している企業も増えています。進学や就職で上京し、東京での生活によって感覚がアップデートされる人がいる一方、そうでない人もいるために、家事や育児の意識にズレが生まれて結婚後に悩み、場合によっては離婚に至ることもあります。
今回は東京都生活文化局が発表した『男性の家事・育児実態調査2025』※1 から、東京で暮らすカップルの家事・育児の考え方や現実をご紹介していきます。より良い結婚生活を送るために、婚活中から家庭生活について考えてみてはいかがでしょうか。
※1:調査に回答したのは東京で暮らす「子育て世代(未就学児がいて配偶者と同居している男女4,000名・男女各2,000名)」と「18歳~69歳の男女1,000名・男女各500名」です。
東京暮らしのカップルの家事・育児事情

最初に東京で暮らす子供のいるカップルの家事・育児について、実態を見ていきましょう。
なお、グラフや表はレポートに使用されているものを本記事用に描き直したものです。
一日の家事・育児時間
子育て世代が1日に家事・育児などにかける平均時間は、男性が3時間29分、女性が7時間48分です。2年前の前回調査(2023年)に比べて男女とも時間が短くなり、男女差も縮まっていることが分かりました。とはいえ、男性の時間にはほとんど変化はないため、男女差が縮まったのは女性が家事・育児にかける時間が大幅に減ったことが大きいといえます。

その理由として、まず1日に8時間以上家事をしているという女性が減りました。これは女性の社会進出が進んで専業主婦が少なくなったことや、家事・育児のワンオペをする女性が減ってきていることが考えられます。他にも外食をしたり、お惣菜を利用したりすることで家事そのものの時間を減らしていることもあるでしょう。今は一食分の材料をキットにして届けてくれるサービスなどもありますし、金銭的に余裕があれば家事代行なども利用可能です。また、「アイロンをかけなければならない服はクリーニングに出す」「買い物はネットスーパーを利用する」といったことでも家事時間を減らすことが可能です。
東京は人口が多く様々なサービスが充実しているうえ、そういったサービスを利用する人が増えたことで、申し訳なさや恥ずかしさを感じることがほとんどない、という面も大きいのではないでしょうか。
一日の平均自由時間
一日にどのくらい自由に使える時間があるか尋ねたところ、以下のような結果となりました。平日はさほど大きな差はありませんが、土日は男女で90分もの開きがあります。普段から家事・育児の時間に大きな開きがあるとはいえ、平日に比べて土日で大きく差が出るということは、男性の方が「休みの日は自由に過ごす」という人が多いということでしょうか。

それでも、子育て世代が最も欲しいと思っているのは男女ともに「自分の時間」でした。ただし、女性の場合、2位の「自分が欲しかったもの」と比べるとその差が非常に大きく、「とにかく自分の時間が欲しい!」と感じているのかもしれません。
頑張っている自分へのプレゼントは何が欲しいですか?
| 順位 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 1位 | 自分の時間(31.1%) | 自分の時間(43.1%) |
| 2位 | 何もいらない(20.0%) | 自分が欲しかったもの(18.5%) |
| 3位 | 家族で過ごす時間(15.7%) | 家族で過ごす時間(10.9%) |
夫婦間の家事・育児分担に満足してる?
家事・育児の分担の満足度については、前回調査と比べて男性はほとんど変わりませんでしたが、女性に関しては大きく上がっています。これは女性の家事・育児時間が減少し、男性との時間差も少なくなってきているため、精神的にも負担が減ったと感じる女性が増えたということでしょう。育児時間が減っても満足度が上がっているのは、より子供とのかかわりを大切にしているということではないかと分析されています。

詳しく見ていくと、「男性が育児休業を取得している女性ほど満足度が高い」という傾向がありました。やはり「二人の子供は二人で育てたい」という気持ちが強いのかもしれません。専業主婦が多かった時代でも、全ての女性が子供好きという訳ではありませんし、好きだったとしてもたったひとりで孤独に育児をするのは精神的にも肉体的にもしんどい…と感じていたとしてもおかしくはないはずです。 ただし、全体としてみれば、まだまだ男女の満足度には大きな開きがあります。「どちらかと言えば不満がある」では女性は男性の約2倍、「とても不満がある」では約2.8倍となっており、この先この差が埋まるのか…少し考えてしまいますね。
男性の育児休業事情

男性の育児休暇取得率は確実に増加しています。ここではその実態を見ていきましょう。
育児休業取得率は増加傾向に
以下のグラフは、末子(一番最近の子供)が生まれた時に男性が取得した育児休業(育休)の日数をまとめたものです(子育て世帯の男性2000人が回答)。
育児休業を取得する男性は増えていますが、特に0歳児の父親では取得率が約65%と非常に高くなっています。さらにその中でも、「1ヶ月以上取得した」と答えた人の割合は32.6%、「1年以上」という人も5.8%いました。最近子供が生まれた男性ほど育児休業の取得率が高くなっていることが分かります。

男性全体で見ると、「育児休業を取得しなかった」は全体で33.3%、「取得できなかった」は17.3%、「希望した期間より短かった」は17.3%、「希望通り取得できた」は23.5%となっています。希望した育児休業期間は「1か月~3か月未満」が18.2%と最も多く、実際に休業した期間は「2週間~1か月未満」で10.9%でした。
一方、女性が配偶者に育児休業して欲しかった期間は「1か月~3か月未満(20.7%)」が最も多くなっており、男性と女性の希望はほぼ一致しているものの、実際には希望通りとはいかないようです。
家事・育児に対する考え方
この調査では、子育て世代以外の人にも「男性の家事・育児参画」について尋ねています。全体としては「男性が家事・育児を行うことは当然だと思う」と答えた人が半数以上となり、最も高くなりました。
2番目に多かった「子供の成長や夫婦間の関係に良い影響を及ぼすと思う」については、女性が50.1%に対し、男性は41.6%と10ポイントほど差ができています。家事・育児に積極的に参加して欲しいと考える女性との間に若干温度差があるのかもしれません。
一方、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだと思う」という昭和的な考え方を支持する人は男女ともに5%程度と少なくなっています。こういった意識も育児休業の取得を後押ししているのではないでしょうか。

男性が育児休業を取ることへの感じ方
同じ職場の男性社員が育児休業を取ることについて、「賛成」「やや賛成」と答えた人は89.4%(働いていない人を除いた回答)で、おおむね好意的に見ているといえます。一方、自分が育児休業を取る場合には「賛成」「やや賛成」が77.6%とぐっと下がりました。取りやすくなったと言われる育休ですが、いざ自分が取るとなるといろいろ考えてしまうのかもしれません。
男女の回答を比べると、男性が72.8%なのに対し女性は83.8%と10ポイント以上の差が付いています。これを見ると、男性は女性と比べて堂々と取りにくい…と感じる人が多いようです。
実際に育児休業を取得した子育て世代の男性の意見を聞くと、「次の機会があればまた育児休業を取りたいと思った(43.5%)」という人が最も多くなりました。「育児の楽しさや大変さを身をもって知った(42.0%)」「妻の負担を減らすことができたと思う(34.7%)」という前向きな回答が続いています。ただ、「育児休業中の男性に対する世間の理解がまだまだ不十分と感じる(23.1%)」といった意見もあり、居心地の悪さを感じることもあったようです。
「次の機会があっても育児休業は取りたくないと思った」という男性は12.4%。育児が思ったより辛かったのか、職場の人に迷惑をかけて申し訳なかったのか、詳しいことは不明です。でも、もしかしたら同じように考えている女性もいるかもしれませんね。
家事・育児に関する男女の感覚の違い

ここでは家事・育児に関する男女の「感覚の差」について見ていきます。この点を押さえておくとより結婚生活がスムーズにいくのではないでしょうか。
結婚生活の中で感じる精神的疲労
子育て世代の男女に、普段の生活の中で精神的に疲労を感じることについて尋ねた結果は以下のようになっています(上位3つまで選択)。
男性が疲労を感じるのは「仕事」「職場の人間関係」が多く、「育児・子供のこと」は3番目でした。一方、女性は圧倒的に多いのが「育児・子供のこと」で、次に「経済的不安」「夫婦関係」と続き、家庭に関することが中心になっていることが分かります。
女性に家事・育児の負担が偏りがちなことは最初の項でも分かりますが、特に育児について疲れを感じているようです。結婚して子供ができたときには、男性の育児への積極的な関りが不可欠だと言えるでしょう。また、お互いが家事・育児に完璧を求めず、「ある程度できていれば問題ない」という考えを持つことも大切です。

家事・育児に対して感謝してますか?
「パートナーが家事・育児をしてくれた時に感謝の言葉を伝えているか」という質問に対しては、男女で大きな差がありました。
男女とも「毎日伝えている」という回答が最も多く、男性が35.5%、女性が36.6%でした。続いて「週に数回程度伝えている(男性:26.5%、女性25.8%)」「いつ伝えたか分からない(男性:13.2%、女性16.8%)」となっています。
一方、「自分が家事・育児をした時に感謝を伝えられているか」という質問では、男性の1位は「毎日伝えられている」なのに対し、女性の1位は「いつ伝えられたか分からない」となっています。このことから男性は感謝を伝えているつもりでも、女性にはあまり伝わっていない可能性があります。
自分が家事・育児をした時に相手から感謝を伝えられていますか?
| 順位 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 1位 | 毎日伝えられている(30.9%) | いつ伝えられたか分からない(24.9%) |
| 2位 | 週に数回程度伝えられている(26.6%) | 週に数回程度伝えられている(23.2%) |
| 3位 | いつ伝えられたか分からない(16.1%) | 毎日伝えられている(22.6%) |
感謝を伝えていない理由を聞くと、ここでも意識の違いがあることが分かりました。男性は伝えたいと考えていても「恥ずかしい」「タイミングがない」と思っており、また「言わなくても伝わっている」と考えている人も少なくないようです。対して女性は「やって当たり前」「相手にも言われていない」という意見が1位2位となっています。「相手にも言われていない」という意見からも、感謝の言葉をかけられていないと感じているのが分かります。
感謝を伝えていない理由
| 順位 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 1位 | 気恥ずかしい(23.1%) | 家事・育児をやるのが当たり前(22.7%) |
| 2位 | 伝える時間やタイミングがない(17.3%) | 配偶者からも言われていない(21.3%) |
| 3位 | 言わなくても伝わっている(13.4%) | 伝える時間やタイミングがない(14.4%) |
こういった意識の違いは「話し合い」や「意識して感謝の言葉を口にする」といったことですり合わせることで、より関係を良くすることができます。この調査では「夫婦の会話時間が長い」「感謝の言葉を伝えられる頻度が高い」というカップルほど夫婦円満だと感じている人が多い傾向にありました。また、「感謝の言葉を伝えられる頻度が高い」ほど、家事・育児の分担についても満足度が高くなっています。
相手の「家事・育児」への不満
家事・育児についての不満についても、男女で大きな差が出ました。
男性の回答で一番多いのは「特に不満はない(43.6%)」だったのに対し、女性は「自分が言わないと、家事・育児をしてくれない(33.4%)」でした。ちなみに女性で「特に不満はない」と答えたのは25.4%。この差はかなり大きいのではないかと考えられます。
男性の2位は「家事・育児をしても、文句や口出しをされる、やり直しを求められる・やり直される(23.8%)」、女性は「家事・育児が雑である、言ったとおりにやってくれない、手順が違う(30.3%)」となっています。家事・育児は女性の方が行っている割合が高いため、やり方などに細かく、慣れない男性に対して意見してしまうことが多いのかもしれません。しかし、あまり細かく言いすぎると男性のやる気がそがれてしまうこともあるでしょう。
男性に家事・育児をしてもらうために、「褒めて教育する」と言われることがあります。この方法は間違いではありませんが、男性によっては「教育させられている」「子供のように扱われて不快」と感じる人もいるので注意が必要です。
男性にやってもらいたい家事1位は「名もなき家事」
ちなみに、女性が男性に最もやってもらいたい家事は「名もなき家事」、育児では「子供と遊ぶ」でした。
「名もなき家事」とは「ボディソープなどの詰め替え」「トイレットペーパーの取り換え」「宅配便の受け取りや再配達の依頼」など、誰かが担っている日常生活では欠かせない細かな家事のことです。例えば、使おうとした時にボディソープが切れていて、お風呂場から「ボディソープが切れてるぞー!」なんていちいち呼ばれるのはとても煩わしいことなのです。
名もなき家事はリスト化するなどして見えるようにするのがポイント。お互いが意識して取り組むことで女性の満足度はアップします。
まとめ:東京で婚活するなら「家事・育児は分担する」が基本
東京での結婚生活では、「家事・育児はどちらかが担うもの」ではなく、夫婦で分担する意識が当たり前になりつつあります。本調査からも、男性の家事・育児参加や育休取得は増加し、分担が進むほど女性の満足度が高まることが分かりました。
一方、残業や出張が多く、思うように関われないと悩む男性も少なくありません。そんな場合でも、「感謝の言葉を伝える」「休みの日には家事・育児に積極的に関わる」といった努力は必要です。
婚活の段階から家事・育児への考え方を共有し、「二人で家庭をつくる」という意識を高めておくことが大切だと言えるでしょう。






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