「女性でそんな役職に就けるなんてすごいですね!」
と言ったら相手の女性が嫌そうな顔をしたので「なぜだろう?」と感じたことはありませんか?
婚活の場では、「そんなつもりはなかった」「褒めたつもりだった」という何気ない一言が相手を不快にさせてしまうことがあります。こうした無自覚な言動の背景にあるのが「マイクロアグレッション」という考え方です。
お見合いやデートは限られた時間の中で相手との相性や価値観を探る場であり、言葉の受け取られ方が想像以上に大きな影響を与えます。悪意がなくても、無意識の思い込みがにじみ出ることで、ご縁が途切れてしまうケースも少なくありません。
今回は、婚活で起こりやすいマイクロアグレッションの具体例とその回避のヒントをご紹介します。
マイクロアグレッションとは

お見合いやデートは短時間で相手との距離を縮めようとする場だからこそ、普段以上に言葉の影響力が大きくなります。まずはマイクロアグレッションとは何かを正しく理解し、なぜ婚活で注意が必要なのかを見ていきましょう。
マイクロアグレッションって何?
マイクロアグレッションとは、日常会話の中で無意識に発せられる相手を傷つけてしまう言葉や態度のことです。特徴的なのは、発言した本人に悪意や差別といった意識がほとんどないということ。性別や年齢・職業・婚歴など、相手の属性に対する「思い込み」や「当たり前」が、そのまま言葉として表に出てしまうことで起こります。
似たような言葉に「アンコンシャス・バイアス」があります。アンコンシャス・バイアスは、誰もが持っている無意識の思い込みや偏見そのものを指す言葉です。一方、マイクロアグレッションはその思い込みが具体的な言動となり、相手に不快感や疎外感を与えてしまった状態を指します。つまり「自覚のない差別」とも言える現象です。最近では家庭や職場などでも良く起こることとして、この言葉も浸透しつつあります。
セクハラなどと同じように、言った側の意図よりも受け取った側がどう感じたかが問題になる点がこの概念の難しさであり、婚活においても意識しておきたい概念 でもあります。
悪気がなくてもNGになってしまう理由
マイクロアグレッションは、「悪気がないから許される」という訳ではないのが問題です。婚活の場(特にお見合い)ではお互いが短時間で相手を判断し合うという特殊な状況に置かれていることがほとんどです。そのため、何気ない一言でも強く印象に残りやすく、違和感として心に引っかかってしまいます。
お見合いだけでなくデートでも、緊張や評価されてしまうという意識から普段なら口にしない表現が出てしまうことも少なくありません。沈黙を避けようとして踏み込んだ話題に触れる、「場を和ませよう」と冗談交じりに言った言葉が相手にとっては価値観を否定されたように感じられる、といったことも良くあります。
婚活では発言の真意を丁寧にすり合わせる前に関係が終了するケースも多いため、何気ない発言が「この人とは合わない」という判断に直結しがちです。だからこそ、悪意がなくてもNGになってしまう現実を理解しておく必要があるでしょう。
婚活で出やすいマイクロアグレッションの具体例

婚活では、相手を知ろうとする過程で年齢や仕事、見た目などに自然と話題が及びます。しかし、その中には無意識の思い込みが含まれやすく、マイクロアグレッションとして受け取られてしまう言動も少なくありません。ここでは、特に婚活で起こりやすい具体例を見ていきます。
年齢や性別役割に関するもの
例えば30代前半の女性に対して「やっぱりアラフォーまでには結婚したいですよね」といった表現をすることがありますが、これは年齢を基準に相手の状況や価値を決めつけてしまう表現です。もしかしたらその女性は「いい人がいれば結婚するけれど特に焦っていない」かもしれないため、本人の人生設計や考え方を無視されたように感じさせる可能性があります。また、「アラフォーの女性は結婚できないはず」という意識が男性にあるようにも聞こえてしまいかねません。
また、「男性にはリードして欲しい」「女性は家庭的な方がいい」といった言葉は、性別によって役割を固定的に捉える考え方が前提になっています。個人の性格や希望ではなく、「男性」「女性」という枠で判断されることで、「この人は自分をひとりの人間として見ていないのでは」という違和感を与えてしまう可能性があります。
それ以外にも、「意外としっかりしていますね」「思ったより自立していますね」という表現は、一見誉め言葉に聞こえますが、無意識の上下関係や偏見が含まれることがあります。「意外と」や「思ったより」という言葉は「主観的に見て」という意味にも取れますので、「もっと依存的な印象があった」と言っているようにも聞こえてしまうかもしれません。
年収・職業・学歴
婚活では将来を意識する分、年収や職業、学歴に関する話題が出やすくなります。それは仕方のないことですが、「別の(年収の高い)企業に転職するとかは考えてないんですか?」「派遣や契約社員より正社員の方が安定していていいですよ」といった表現は、相手の選択や努力を不安視し、否定するニュアンスを含みがちです。本人がやりたい仕事であったり、事情があって別の選択ができなかったりする場合があることも考えてみましょう。
収入や肩書きを基準にした質問が続くと、「条件として見られている」「値踏みされている」という印象を与えてしまいます。学歴や職業による無意識の序列化も同様で、「高学歴で安心しました」といった言葉は、評価の軸がそこにあることを明確に示してしまいます。
こうした発言は、相手がこれまで積み重ねてきた努力や背景への想像力を欠いたものとして受け取られやすく、対等なパートナーとして見てもらえていないと感じさせる原因になります。
容姿・体型・婚歴
「年齢よりずっとお若く見えますね」といった言葉は、褒めているつもりでも、外見を評価・採点しているように受け取られることがあります。特に最初に二人が出会うお見合いの場では、容姿や体形には触れずに服や雰囲気などを褒める方が無難です。
また、離婚歴がある人に対して「どうして前の結婚はうまくいかなかったんですか?」と理由を深掘りするのも、信頼関係ができる前にはマイクロアグレッションになりやすい話題です。本人が気にしている可能性の高い領域だからこそ、配慮なく踏み込むことで心の距離を一気に広げてしまうことがあります。
これらはすべて、「相手を知りたい」という気持ちが先行しすぎた結果起こるものですが、受け取る側の負担は決して小さくありません。
マイクロアグレッションを回避するためには

マイクロアグレッションは、知識があれば完全に防げるものではありません。しかし、「気づこうとする姿勢」を持つことで、相手に与える印象は大きく変わります。婚活を前向きな出会いの場にするために、ここでは実践できる考え方とサポートの活用方法を紹介します。
誰でも偏見や差別意識があることを自覚する
マイクロアグレッションを回避する第一歩は、「自分には偏見がない」と思い込まないことです。性別・年齢・職業・結婚観などに対する価値観は、育ってきた環境や経験によって自然と形づくられるものでひとりひとり異なっているものだと考えておきましょう。誰もがアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込みや偏見)を持っており、それ自体は悪いことではありません。問題になるのは、その思い込みや偏見を自覚しないまま言葉や態度に表してしまうことです。
婚活の場では、自分の「普通」や「当たり前」を相手に当てはめてしまいがちです。しかし、相手の価値観を正したり評価したりする必要はありません。もし発言に対して違和感を示されたり指摘を受けたりした場合は、「そんなつもりじゃなかった」と弁解するのではなく、相手がそう感じた事実を受け止めて率直に謝ることが大切です。完璧な言動を目指すよりも、気付いて修正し続ける姿勢こそが信頼関係を築く土台になります。
結婚相談所だからできるサポートや役割
婚活中のマイクロアグレッションへの対策において、結婚相談所という第三者の存在は大きな意味を持ちます。婚活中はどうしても当事者同士のやり取りに偏りがちですが、相談所は客観的な視点でコミュニケーションを振り返ることができます。
例えば、お見合い後のフィードバックを通じて自分では気づかなかった「言葉遣い」や「印象」を知ることができます。相手が直接は言えなかった違和感を、感情的にならずに伝えてもらえる点も大きなメリットです。また、事前のカウンセリングで「婚活で誤解されやすい表現」や「避けた方がよい話題」を共有することで、トラブルを未然に防ぐことも可能です。
結婚相談所は単に出会いを提供する場ではなく、結婚後も続くコミュニケーションの質を高めるための伴走者です。マイクロアグレッションへの気づきを支援できる点は、結婚相談所ならではの価値と言えるでしょう。担当のカウンセラーを積極的に活用するようにすることが婚活の質を上げるコツです。
マイクロアグレッションを防ぐための「婚活コミュニケーションチェックリスト」
ここでは簡単にマイクロアグレッションを防ぐための「チェックリスト」を用意しました。
このチェックリストは「言ってはいけない言葉」を縛るためのものではありません。大切なのは発言の意図ではなく、相手がどう受け取る可能性があるかを一度立ち止まって考えることです。婚活は条件の確認だけでなく、信頼関係を築くプロセスでもあります。日々の会話を振り返る習慣を持つことで、無意識のマイクロアグレッションを減らし安心感のあるコミュニケーションにつなげることができます。
チェックリスト
- 相手を年齢・性別・職業などの属性で決めつけていないか
- 「普通は」「一般的には」「〜すべき」といった表現を多用していないか
- 収入や肩書きで相手の価値を測るような質問になっていないか
- 外見や過去を評価・比較する言い回しになっていないか
- 相手の話を理解しようとする姿勢で聞けているか
- 自分の価値観を押し付けたり、正解を示そうとしていないか
- 指摘されたときに、言い訳せず受け止められているか
まとめ:マイクロアグレッションを考えることは良いご縁への第一歩
婚活は、年齢や年収、学歴といった条件やスペックを確認するだけの場ではありません。お見合いやデートで交わされる何気ない一言が、相手に安心感を与え、信頼を築くこともあれば、逆に心の距離を一気に広げてしまうこともあります。マイクロアグレッションに気づくことは、相手を尊重しようとする姿勢に気づくことでもあり、思いやりを深める第一歩です。完璧な言動を目指す必要はありませんが、「どう受け取られるか」を想像することが良いご縁につながります。婚活は条件のすり合わせではなく、人と人との信頼づくり。その意識が将来の結婚生活を支える土台になるのです。






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